韓米CJLOTS 26、固定港なしで海から補給 約300両を揚陸した「臨時港」の仕組み
画像:U.S. Army photo by Sgt. Jakaiyah Rumedon/8th Army。2026年6月23日、韓国・浦項港で撮影。DVIDS Photo ID 9779280、Public Domain。CJLOTS 26でFort StanwixタグボートをOcean Giantから降ろす場面です。
韓国・浦項で、港の岸壁が使えない状況でも海から人員、車両、燃料、物資を送り込む韓米合同訓練「Combined Joint Logistics Over-the-Shore 26(CJLOTS 26)」が行われました。米韓連合軍司令部・米軍の公式資料では、CJLOTS 26全体は2026年6月15日から8月22日まで実施されました。米海兵隊が担当した一連の揚陸では、数百点の装備と約300両の車両が海上から陸へ移されています。
CJLOTSとは「港がなくても荷物を陸へ上げる」訓練
JLOTSは「Joint Logistics Over-the-Shore」の略で、固定された港湾設備に頼らず、沖合の輸送船から海岸へ人員や装備、補給物資を移す能力を指します。今回のCJLOTS 26は米輸送軍が後援し、米軍と韓国軍の艀(はしけ)や海岸接続システムを組み合わせ、厳しい環境でも海上から陸上へ補給を続けられるかを確認しました。
重要なのは、単に車両を砂浜へ降ろす訓練ではないことです。大型輸送船、浮体式の荷役設備、艀、仮設桟橋、燃料輸送、整備、荷物の追跡までを一つの補給網として動かす必要があります。港のクレーンや岸壁が使えない場合に、臨時の「港」を海上と海岸に作るイメージです。
約300両はどうやって陸へ運ばれたのか
米海兵隊Blount Island Commandの公式記事によると、USNS Sislerの船尾ランプには「Roll-on/Roll-off Discharge Facility(RRDF)」と呼ばれる浮体式の荷役設備が接続されました。車両は船内からRRDFへ自走し、そこからImproved Navy Lighterage SystemのCauseway Ferry、つまり車両を運ぶ大型の浮体式フェリーへ移されました。
フェリーは浦項のDogu Beachまで進み、海岸へ接岸して車両を降ろしました。さらに米陸軍の舟艇は、一部の貨物を海岸から伸ばすモジュール式の浮桟橋「Trident Pier」へ運びました。この揚陸段階で数百点の装備が陸揚げされ、その中には約300両の車両が含まれていました。
燃料も「港なし」で海から送った
CJLOTS 26では車両だけでなく、燃料補給も海上から実施しています。米海兵隊第3海兵兵站群は7月14日、Joint Petroleum Over-the-Shore(JPOTS)訓練を行いました。海上にいる事前集積船USNS Lummusから、Amphibious Bulk Liquid Transfer Systemを通じて模擬燃料を海岸側へ送り、陸上の燃料システムへ接続しています。
ここでの狙いは、港湾の燃料施設や固定パイプラインが使えない状況でも、大量の燃料を海から陸へ受け渡せることを確認する点にあります。公式発表は特定の有事や特定国を想定した訓練だとはしておらず、記事上も「港湾機能が制限された環境での補給能力」を確認した訓練として扱うのが適切です。
現地で部品を3Dプリントする場面もあった
補給の考え方は、物資を大量に持ち込むだけではありません。CJLOTS 26では、米沿岸警備隊の舟艇に必要な部品が通常の補給経路ですぐ入手できなかったため、米海兵隊の整備部隊が現地で部品を逆設計し、3Dプリンターで代替品を製作しました。米海兵隊によると、最初の試作品は半日未満で製作されています。
こうした現地製造は、部品待ちで装備が止まる時間を短くするための手段です。海上輸送、燃料、整備、デジタルな装備追跡まで含めて補給線を維持することが、CJLOTS 26の特徴でした。
「6月15日~8月22日」と「7月10日~20日」は矛盾しない
公式資料には異なる日付が出てくるため、読み分けが必要です。米韓連合軍司令部・米第8軍の資料は、CJLOTS 26全体を6月15日から8月22日までとしています。一方、米海兵隊第3海兵兵站群は、Dogu Beachで同部隊が中心となって実施した主要な揚陸訓練を7月10日から20日までと説明しています。
したがって、「CJLOTS 26は7月10日から20日だけだった」とするのも、「約300両という数字が6月から8月までの全期間の総数」とするのも正確ではありません。約300両は、Blount Island Commandが報告した揚陸段階の実績です。
韓国でこの訓練をする意味
大規模な部隊を動かすとき、戦闘機やミサイルだけでなく、燃料、車両、整備部品、食料を継続して届けられるかが作戦の持続性を左右します。CJLOTS 26は、既存港に全面的に依存せず、米韓の装備と手順を組み合わせて海岸から補給網を立ち上げる能力を確認する訓練です。
ただし、公開資料だけから「特定の港が攻撃された場合の作戦」や「特定国への上陸作戦」を想定していると断定することはできません。一次資料で確認できるのは、米韓両軍が固定港湾設備なしの海上補給、燃料輸送、装備追跡、現地整備を統合して訓練したという点です。
参考資料
- U.S. Forces Korea / DVIDS:2026 Combined Joint Sustainment Training conducted(CJLOTS 26全体期間・目的)
- U.S. Marine Corps:3d MLG, ROK Allies Set to Execute Combined Logistics Exercise CJLOTS 26
- U.S. Marine Corps Blount Island Command / DVIDS:Blount Island Team Keeps Maritime Readiness Moving in South Korea(約300両、RRDF、Causeway Ferry、Trident Pier)
- 3rd Marine Logistics Group / DVIDS:U.S., ROK Forces Demonstrate Expeditionary Bulk Fuel Capabilities at CJLOTS 26
- 3rd Marine Logistics Group / DVIDS:Advanced manufacturing supports joint and bilateral readiness at CJLOTS 26
- U.S. Army / DVIDS:CJLOTS 2026 Kicks Off at Pohang Port(Photo ID 9779280)
- U.S. Army / DVIDS:CJLOTS 2026 Kicks Off at Pohang Port(Video ID 1012706)
2026年8月24日時点の米韓連合軍司令部、米陸軍、米海兵隊、DVIDSの公式公開資料をもとに整理しています。公開資料にない想定敵、港湾被害、輸送能力の上限値、作戦計画は推定していません。
この記事に関連する商品・資料
軍事ロジスティクス・海上輸送・韓米同盟の書籍
当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しています。リンク経由で購入された場合、運営者に報酬が発生することがあります。
価格・在庫・販売状況はリンク先でご確認ください。
