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ミリタリーNOW
艦艇/米海兵隊

米海兵隊、新型ASC初号艇を技術受領 「港なし補給」の最後の1マイルを担う新型舟艇

 
アラバマ州バイユー・ラ・バトルの海岸に上陸した米海兵隊のAncillary Surface Craft試作艇

画像:Emily Carroll/Marine Corps Warfighting Laboratory | Futures Directorate。2026年8月3日、米アラバマ州Bayou La Batreで撮影。DVIDS Photo ID 9877980、Public Domain。ASC試作艇の全体像が分かる、同艇そのものの公式写真です。

米海兵隊戦闘研究所(Marine Corps Warfighting Laboratory、MCWL)は2026年8月18日、豪州系企業Birdonが設計した「Ancillary Surface Craft(ASC)」初号艇の技術受領を完了したと発表しました。ASCは、港や桟橋を使えない浅い海岸まで人員、車両、燃料、補給物資を運ぶための試作舟艇です。今回の受領は実戦配備の開始ではなく、海兵隊が実物を使った技術評価と運用実験へ進むための節目です。

ASCは何をする舟艇なのか

ASCの狙いは、大型艦が近づけない海岸まで補給をつなぐことです。米海兵隊の最新発表では、全長はおよそ150フィート(約46メートル)のロールオン・ロールオフ式舟艇で、人員や車両を載せたまま海岸へ接近し、船首側から直接上陸できるよう設計されています。

海兵隊はこの役割を「last tactical mile(最後の戦術1マイル)」と表現しています。実際の距離が1マイルという意味ではなく、大型輸送手段から前線に近い分散部隊まで物資を届ける最後の区間を指します。ASCは浅い喫水を生かし、勾配が緩い海岸、港湾設備のない海岸、十分な測量がされていない沿岸でも補給を届けることを狙っています。

最新の海兵隊公表値は「46トン・40人」

MCWLの2026年8月発表では、ASCは最大46トンの貨物と、戦闘装備を身に着けた海兵隊員40人を輸送できるとされています。荒天への適応については、Sea State 5で運用可能、Sea State 7までの厳しい海象に耐える設計と説明されています。また、浅く十分に測量されていない海域で前方の障害物や海岸勾配を把握するため、前方監視ソナーを備えます。

ここは資料の更新時期に注意が必要です。Birdonのメーカー資料では、2025年の試作開始時に54トン級の積載量が公表され、現在の製品ページにも54トンという数字が残っています。一方、技術受領後にMCWLが公表した最新値は46トンです。本記事では、現時点の海兵隊側の受領時公表値である46トンを採用し、両数字を同一仕様として混同しません。

大型のLSMを置き換える船ではない

ASCは、米海兵隊が整備を進めるMedium Landing Ship(LSM、中型揚陸艦)の代替ではありません。MCWLは、LSMを島と島の間で部隊を運ぶより大型の艦艇、ASCをそこからさらに浅い海岸へ補給を届ける舟艇として整理しています。

つまり、輸送拠点から島しょ部までをLSMなどが担い、その先の大型艦が入れない水深の浅い場所をASCがつなぐ考え方です。港、桟橋、コーズウェーと呼ばれる仮設の連絡設備に常に依存せず、分散した部隊へ補給経路を伸ばすのがASCの役割です。

技術受領の次は「限定技術評価」

初号艇は今後、Birdon Americaの船長・技術者、豪陸軍の乗員支援、MCWLの監督を組み合わせた限定技術評価(Limited Technical Assessment)へ進みます。海兵隊は当初、海兵隊員と経験を持つ契約船員を組み合わせた混成乗員で運用し、小型水上艇を海兵隊自身が扱うための訓練と評価を進める方針です。

Birdonは2025年、2隻の試作艇の建造開始を発表していました。ただし、今回MCWLが技術受領を明示したのは初号艇です。2隻目の受領完了や量産移行、将来の最終調達隻数については、今回の海兵隊発表だけでは確定できません。

武装舟艇ではなく、主任務は補給と機動

MCWLはASCの主任務を「logistics and maneuver」、つまり補給と機動であり、直接戦闘ではないと明記しています。一方で、今後の試験では部隊防護や自衛用装備の構成も評価するとしています。

ここから「どの機関砲やミサイルを標準装備する」と断定することはできません。メーカー側の構想図や過去の提案には防護装備の案がありますが、技術受領時点の海兵隊発表では最終的な武装構成は確定していません。本記事では、試験対象となる自衛能力と、確定した標準武装を区別します。

CJLOTSとは似ているが、役割は別

当サイトで前日に紹介した韓米のCJLOTS 26も、固定港に頼らず海から物資を陸へ上げる訓練でした。ただし、CJLOTSは大型輸送船、浮体設備、フェリー、仮設桟橋、燃料系統などを組み合わせて海上補給拠点そのものを構成する仕組みです。

ASCはそれより小さな単独舟艇で、大型輸送手段からさらに浅い海岸へ補給を運ぶ末端側の手段です。どちらも「港が使えない状況で補給を続ける」という課題に向き合っていますが、規模と担当する区間が異なります。

参考資料

2026年8月25日時点の米海兵隊戦闘研究所、DVIDS、Birdonの公開資料をもとに整理しています。技術受領は実戦配備や量産決定を意味しません。2隻目の受領時期、最終調達数、確定した標準武装など、公開資料で確認できない事項は推定していません。

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