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ミサイル・ドローン/艦艇

米海軍、トマホーク増産で229億ドル契約 RTXは年1000発超への拡大を表明

 
米海軍駆逐艦から発射され、機体全体が確認できるトマホーク巡航ミサイル

画像:U.S. Navy/U.S. Central Command。2026年2月28日撮影。DVIDS Photo ID 9545934、VIRIN 260228-D-D0477-9941、Public Domain。今回の契約発表時ではなく、実際のトマホーク発射を示す公式写真です。

米海軍は2026年8月17日、Raytheonを傘下に持つRTXとの間で、トマホーク巡航ミサイルの生産を加速する229億ドル規模の契約を締結したと発表しました。米国防当局は生産能力、要員、供給網の拡大を狙う契約と説明し、RTXは7年間の契約のもとで年間生産を1000発超へ引き上げる方針を表明しています。

229億ドルは「ミサイルだけの代金」ではない

米海軍と米国防当局の公式発表が確認している契約額は229億ドルです。ただし、この数字を発注されたミサイル本数で割って「トマホーク1発の価格」を求めることはできません。RTXは契約について、トマホーク本体だけでなく関連支援を含み、複数年にわたる生産拡大を支えるものと説明しています。

また、RTXが示した「年1000発超」は年間の生産能力を引き上げる目標です。7年間だから単純に7000発以上を米海軍が購入すると確定した、という意味ではありません。米海軍の発表にも、この契約で最終的に何発を取得するかという確定数量は示されていません。

米海軍が狙うのは工場そのものの処理能力拡大

米海軍は今回の契約によって調達リードタイムを短縮し、製造現場の人員、生産スループット、供給網を強化すると説明しています。つまり、完成したミサイルを一括で買うだけでなく、長期間にわたってより多く生産できる産業基盤を整えることが契約の重要な目的です。

米国防当局も同じ17日に、契約によって企業側が人員を増やし、生産量を拡大し、サプライチェーンを強化するための安定性を得られると説明しました。近年の弾薬増産では、部品メーカーを含む供給網全体の能力を長期契約で確保することが重視されています。

RTXは「7年契約」「年1000発超」を明記

契約当事者であるRTXは8月17日の発表で、今回を7年間の契約とし、トマホークと関連支援について年間1000発超へ生産を拡大するとしています。これは米政府発表より具体的な生産計画ですが、メーカー側の説明であることは区別して読む必要があります。

したがって、現時点で一次資料から安全に言えるのは、「米海軍が229億ドルの増産契約を締結した」「RTXは7年間で生産能力を年1000発超へ高める方針を示した」という二点です。最終調達数量や年度ごとの納入数を推測で補うべきではありません。

トマホークは艦艇・潜水艦から撃つ長距離打撃兵器

米海軍のFact Fileでは、トマホークは全天候型の長距離・亜音速巡航ミサイルで、米海軍の水上艦と潜水艦から発射して地上目標を攻撃する兵器とされています。Block IV/Vの公表射程は900海里、約1667kmです。

Block Vでは航法・通信機能が更新され、海上目標への攻撃能力を加えるMaritime Strike Tomahawkなどの派生型も進められています。日本もトマホークを取得し、2026年7月には海上自衛隊の護衛艦「ちょうかい」が初の実射を行っており、米国内の生産能力は同盟国への供給にも関係するテーマです。

今回のポイントは「契約額」より生産速度

229億ドルという巨額契約は目を引きますが、より重要なのは、米海軍が長距離打撃兵器を継続的に大量生産できる体制へ移そうとしている点です。RTXが掲げる年1000発超の生産能力が実際にいつ達成され、米海軍と同盟国への納入がどのように配分されるかは今後の公表資料で確認する必要があります。

一方で、契約額を予定生産数で割った単純な「1発あたり価格」や、7年間の総生産数を確定値として扱うのは適切ではありません。今回の発表は、数量よりも生産基盤を拡張する長期契約として読むのが正確です。

参考資料

2026年8月24日時点の米海軍、米国防当局、RTX、DVIDSの公開資料をもとに整理しています。契約の最終調達数量、年度別納入数、1000発超の生産能力へ到達する具体的な時期は、確認できないため断定していません。

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