米海兵隊F/A-18、岩国で10機に「ハープーン」搭載 対艦訓練で空中給油も実施

画像:Lance Cpl. Donald Dugger/1st Marine Aircraft Wing。2026年8月19日、山口県の米海兵隊岩国航空基地で撮影。DVIDS Photo ID 9877245、Public Domain。ハープーン訓練に参加したF/A-18ホーネット複数機の全体像が分かる公式写真です。
米海兵隊第1海兵航空団は2026年8月19日、山口県の米海兵隊岩国航空基地で、Marine Fighter Attack Squadron 232(VMFA-232)のF/A-18ホーネット10機にAGM-84D「Harpoon(ハープーン)」対艦ミサイルを搭載する訓練を実施しました。DVIDSの公式写真・映像では、地上での搭載作業に加え、Marine Aerial Refueler Transport Squadron 152(VMGR-152)による空中給油と編隊飛行も確認できます。ただし、公開された一次資料はミサイルの発射や標的への命中を記しておらず、本記事では「実射」とは扱いません。
8月19日、岩国でF/A-18 10機にハープーンを搭載
DVIDSに掲載された第1海兵航空団の公式記録によると、VMFA-232の海兵隊員は岩国基地でF/A-18ホーネット10機にAGM-84Dハープーン対艦ミサイルを搭載しました。公開写真には、駐機場に並ぶ複数のF/A-18、機体の安全点検、搭載作業、発進準備の様子が記録されています。
同じ8月19日の公式映像では、VMGR-152のKC-130J空中給油機とVMFA-232のF/A-18が日本沿岸沖で空中給油と編隊飛行を実施しています。つまり今回の訓練は、地上で対艦兵器を搭載する手順だけでなく、離陸後に給油支援を受けながら航空作戦を継続する一連の流れまで含んでいました。
ハープーンはどのような対艦ミサイルか
米海軍航空システム軍団(NAVAIR)はA/U/RGM-84ハープーンを、全天候型の「見通し線外(over-the-horizon)」対艦ミサイル・システムと説明しています。見通し線外とは、発射母機から直接目視できない距離の水上目標も攻撃対象にできるという意味です。
NAVAIRによれば、ハープーンは中間航程の誘導とレーダー・シーカーを組み合わせ、水面近くを低高度で飛ぶシースキミングを行います。終末段階ではアクティブ・レーダーで目標を捉えます。航空機から発射する型は艦艇・潜水艦・沿岸発射型と違って発射用ブースターを必要とせず、機体から分離した後にエンジンを始動します。NAVAIRはF/A-18A-Fをハープーンの対応プラットフォームとして挙げています。
重要なのは「搭載訓練」と「実射」を分けること
今回のDVIDS資料は一貫して「harpoon exercise」と表現し、10機へのAGM-84D搭載、飛行、空中給油を確認できます。一方で、ミサイルを実際に発射した、標的艦を設定した、命中を確認したという記述はありません。
軍事演習では、実弾そのものを使用する場合だけでなく、搭載・安全確認・発進・空中給油・指揮統制など、実戦時に必要になる手順を分解して訓練することがあります。公開資料で確認できない部分を補って「10機が対艦ミサイルを一斉発射した」と解釈するのは適切ではありません。
10機規模と空中給油が示すもの
今回確認できるのは、単機の兵器搭載試験ではなく、10機のF/A-18を対象に地上作業を実施し、VMGR-152の空中給油支援まで組み合わせたことです。これは、複数機をまとめて発進させ、給油機と連携する部隊運用の訓練だったことを示します。
ただし、公開資料から特定の国や艦隊を想定した攻撃計画、実戦時の出撃機数、ミサイル搭載本数、作戦半径、目標割り当てを推定することはできません。DVIDSの説明は部隊の即応性と統合能力を強調していますが、具体的な作戦計画は公表していません。
岩国で行われても「日米共同訓練」とは限らない
訓練場所は日本国内の米海兵隊岩国航空基地ですが、今回確認した米軍の公式資料に自衛隊部隊の参加は記載されていません。そのため、本記事では日米共同訓練とは表現しません。
岩国基地は西太平洋で活動する米海兵隊航空部隊の主要拠点の一つです。今回の資料から確実に言えるのは、VMFA-232が岩国で対艦兵器の搭載訓練を行い、VMGR-152と空中給油を含む飛行訓練を実施したという点までです。
まだ分からないこと
公開資料では、搭載されたミサイルが実弾、訓練弾、模擬弾のどれだったのか、各機の搭載本数、訓練空域、想定目標、ミサイル発射の有無は明示されていません。これらを写真だけから推定することは避けます。
また、今回の訓練を特定の地域情勢や特定国への直接的な軍事メッセージと断定できる公式説明も確認できません。公開価値があるのは、岩国を拠点とする米海兵隊のF/A-18部隊が、10機規模で対艦ミサイル搭載と空中給油を組み合わせた訓練を実施した事実そのものです。
参考資料
- 1st Marine Aircraft Wing / DVIDS:VMFA-232 F/A-18s take to the skies for harpoon exercise(2026-08-19、Photo ID 9877210、Public Domain)
- 1st Marine Aircraft Wing / DVIDS:VMFA-232 F/A-18s take to the skies for harpoon exercise(Photo ID 9877245、Public Domain)
- 1st Marine Aircraft Wing / DVIDS:VMFA-232 F/A-18s take to the skies for harpoon exercise(Video ID 1019478)
- 1st Marine Aircraft Wing / DVIDS:VMGR-152・VMFA-232空中給油/編隊飛行(Video ID 1019464)
- U.S. Naval Air Systems Command:Harpoon product page
2026年8月25日時点の米海兵隊第1海兵航空団、DVIDS、NAVAIRの公開資料をもとに整理しています。AGM-84Dの搭載と空中給油は公式資料で確認しましたが、ミサイル発射、標的、各機の搭載本数、訓練弾種、作戦計画など未公表の事項は推定していません。
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